新しい経済 2020 6 6

 新型コロナウイルスの流行によって、
「新しい日常」、つまり「新しい経済」に切り替わっていくかもしれません。
 しかし、消費者のほうは、すぐに切り替えができるでしょうが、
事業者のほうは、切り替えは困難だと言えるでしょう。
この「非対称性」が経済を苦しめることになります。
 しかし、来年にも、このような非対称性が解消され、
かつての「にぎわい」を取り戻せるように祈っています。
 知人によれば、駅を通過した特急列車を見て驚いたという。
5月下旬、平日の昼間だったとはいえ、
著名な観光地である「草津温泉」へ向かう特急列車は、
乗客が2名だったという。
 何両編成だったかわかりませんが、
仮に7両編成だったとすると、
7両編成の特急列車が2名の乗客を運んでいたことになります。
 事業者にとっては、「空気」を運ぶために運行しているようなもので、
相当な赤字となるでしょう。
これは、「鉄道少年」だった私にとっても、悲しいことです。
 飲食店も似たような事情で、
本来、満席にしてこそ経営が成り立つのに、
今は、感染拡大防止のために、座席は間隔を開けて座るようになっています。
 同じことは、都内の私立大学にも言えるでしょう。
本来、大学は、広大なキャンパスが静寂な環境を作るというイメージでしょうが、
現実は、そうではありません。
それでは、経営が成り立たないのです。
狭いキャンパスに大量の学生を詰め込んでこそ、経営が成り立つのです。
 しかし、これでは、「過密」そのものです。
感染拡大防止のために、キャンパスを閑散としなければならない。
しかし、それでは経営が成り立たないうえに、借入金の返済もあります。
 今までの経営は、少ない自己資金でも融資を受けることにより、
大きな事業展開をするというのが、スピード経営として称賛されてきましたが、
これからの時代は、このようなレバレッジ経営は難しいかもしれません。
 新しい時代には、新しい経済学者や経営学者が要請されます。
「新しいケインズ」や「新しいドラッカー」が新しい時代を作っていくと思います。
 さて、新型コロナウイルスの根絶は難しく、
各地で変異して、各地の「風土病」として残る可能性があります。
 これは、私の個人的な考えですが、
動物の世界では、コロナウイルスは、よくあるウイルスと言われていますが、
まさか人間の世界でも流行するとは、想像を絶するものがあります。
 最終的には、新型コロナウイルスのRNAが、
人間のDNAに取り込まれて流行が終わるのかもしれません。
 実は、人間のDNAには、ウイルス由来のものがあると言われているのです。
人類の歴史は、未知のウイルスとの戦いだったので、
そういうことは、十分にあり得る話ですが、
映画「バットマン」を連想しますが、
はたして、我々の進化に寄与するものなのかは、甚だ疑問です。

ウイルスの弁明 2020 5 31

書名 生物はウイルスが進化させた
著者 武村 政春  ブルーバックス

 近頃、ウイルスの評判が悪い。
インフルエンザウイルスにコンピューター・ウイルス。
最近では、新型コロナウイルスまで加わった。
 確かに、ウイルスの行動を見てみると、
何か悪さをしているように見えます。
 空き巣が、留守宅のドアが開かないか動かしてみたり、
ドアの鍵穴に変なものを差し込んで鍵を開けて、
家の中を荒らしまわり、裏口から出ていく様子は、
確かに、悪さそのものです。
 ウイルスが細胞膜に取りつくと、
細胞の貪食機能によって細胞内に取り込まれていく様子は、
まるで宅配便を装った強盗にも見えます。
 あるいは、なかなか中に入れてもらえないウイルスが、
細胞膜を溶かして侵入していく様子は、
窓ガラスの一部に穴を開けて侵入する空き巣のように見えます。
 しかし、人間に「悪さ」をするウイルスは、
1割もないかもしれません。
 たいていのウイルスは、人間に対して無害かもしれません。
あるいは、有益なものがあるかもしれません。
 もしかすると、ウイルスは、細胞に、
DNAやRNAという情報を運搬する仕組みだったかもしれません。
 我々人間のDNAの一部には、
ウイルスが運んできたDNA、
あるいはウイルスのDNAが組み込まれていると聞いたことがあります。
 もしかすると、細胞の中にある細胞核は、
進化の過程で、ウイルスが作ったかもしれません。
 あるいは、シンプルな構造で構成されるウイルスは、
複雑な構造を持つ細胞の原型となったかもしれません。
 どのような経緯をたどったのかは、
神に聞いてみないとわからないかもしれません。
「そのような細かいことは、進化担当の大天使に聞け」と言うかもしれません。
 さて、著者は、「巨大ウイルス」の専門家です。
なぜ、「巨大」というタイトルをつけたかというと、
普通は、ウイルスは極めて小さいので、
電子顕微鏡を使わないと見えないのです。
ウイルスより大きい細菌は、光学顕微鏡で見えます。
つまり、光学顕微鏡で見えるものは、細菌と言えます。
 ところが、近年、光学顕微鏡サイズのウイルスが、
世界各地で発見されたのです。
最初は、その大きさから「細菌」に分類されたそうです。
 しかし、「細菌」に存在するものがないうえに、
その「生態」がウイルスに似ていて、
「これは、ひょっとするとウイルスではないか」ということになったそうです。
 そのほかに、何が巨大かというと、
サイズだけでなく、ゲノムサイズが生物並みに巨大であるのです。
 こうなると、ウイルスは生物ではないと言われてきましたが、
「生物」に加えてもよいような気がしてきます。
 今のところ、ウイルスは「非生物」とされます。
なぜかというと、ウイルスは、代謝を行わない、
自己増殖ができないという理由で、生物とは見されていないのです。
 さて、著者が休日に河川敷で、
「トーキョーウイルス」の発見に至った経緯については、
小説風に書いてあって興味深いものがあります。


























































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